”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”

今日はネタが無いので、溜めておいたものを書こうと思う。
おこたんは、お祭りが大好きだ。
私達の住む住宅地には、「春祭り」というものがある。
これは、神輿を担いで町内を練り歩くというものなので、まだおこたんには難しいと思っていた。
だが、今年はおこたんのクラスメートが一人参加していたので、来年は参加させてみようと思った。

そんな私もこの町で少年時代を過ごしたので、「春祭り」に参加した事がある。
私は小学校2年生迄を、出身地である京都市北区で過ごした。
この土地に移り住んだのは、小学校3年生に上がる直前だった。
それ以前は、上賀茂御園橋の交差点の傍に住んでいたので、日当たりが悪く、弟が喘息持ちだった。
「空気のいい環境を。」それだけの理由で今の場所への移住を決めた父は、良く出来た父親だと思う。

家が建つ前に何度も下見に訪れたが、当時は古墳を崩して分譲した野原だけで琵琶湖がよく見えた。
国鉄の湖西線も、1時間に1本程度しか無かったような気がする。
これまでは、うちの近所に店がある、バスが便利、自然環境なら上賀茂神社とそれなりに快適だったが、それらを全て失って手に入れた贅沢である。
尤も、当時の私は、友達と離れる事の方が重大な問題だった。
一方、弟はこの土地で小学校に入学する事になるので、なかなかいいタイミングだった。

この土地での最初の大きなイベントが春祭りだったのである。
私が住む住宅地は新興住宅地だったが、町全体は農業と漁業で発展してきた古くからある町だった。
そんな訳で、私達の町以外の神輿は、古く使い込まれていた。
尤も、当時は新しくて綺麗な方が良かった筈だ。
そんな神輿を新しい友達達と担ぐのは楽しそうだ。

祭りが始まる。
天神さんに集まって、ここからいよいよ神輿を担ぐ。
ところが、近所のおっさんが。「はい、小さな子供(4年生以下)は、こっちね。」と指した方向には恐るべき物があった。
そこには、子供神輿と呼ぶには、かなり無理のある物体が置かれていた。

使い古したリアカーに、ビニール袋に入った大量のお菓子が詰まれていた。
これは解散時にみんなに配られた。
今思うと、狩猟民族が狩った獲物を木の枝にぶら下げ担ぎ、喜んで雄叫びをあげている画が浮かぶ(笑)
お菓子の周りの隙間は発砲スチロールで固定され、そこに針金の付いた風船が沢山突き刺さっていた。
そして周りには紅白の垂れ幕。
何となく商店街の年末大売出しの飾り付けのようだ。
おまけに、何故か銀色の大きなラジカセが載せられていた。

リアカーの持ち手は、強引に木の棒を縛りつけて延長。
その棒には、紅白の紐がぶら下がっていた。
唖然とする私達を尻目におっさんは、「危ないから、おじさんが下まで下ろしてあげよう。」と数人でリアカーを天神さんの階段から下ろした。
かなり怪しい光景だ。

下まで着くと、4年生を中心に隊列が組まれて、いよいよ担ぐ…ではなく、紐を引っ張る。
「さあ、元気に行ってみよう!」と、さっきのおっさんがラジカセのスイッチを押した。
流れてきた音楽は、祭りには関係の無い映画「2001年宇宙の旅」のテーマ。
”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”というテーマにのせて、リアカーは進んでいく(笑)
曲が終わった。
次の曲は!?…。

”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”

またかい!

こうして、”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”は、エンドレスで新興住宅地に響いた。
他の子供会は、古く使い込んだ神輿を格好よく「ワッショイ!ワッショイ!」という掛け声で担いでいた。
これが日本の祭りの筈だ!

おっさん「あ、テープが終わった。」
今度は何だろう。
おっさん「裏返してと…。さあ、元気に行ってみよう!」
どうやら、この選曲はおっさんの趣味みたいだ。

”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”

このトラウマになりそうな経験にも、いい事があった。
学生時代に某スキーショップでバイトをしていた時の話だ。
広瀬香美さんの”チャーン チャチャーン チャチャーン タラ~♪”を上回る、8時間攻撃にも耐える事が出来た(笑)

誤解の無いように書いておくが、私は広瀬香美さんが好きでほとんどのアルバムを持っている。

あくまで、同じ1曲だけを8時間エンドレスで流され続ける事が苦痛だと言っているのだ。

ちなみに、今は子供の数が当時よりも大幅に減った為に、おこたんはリアカーを引っ張らなくてもよくなったみたいだ。

この記事を書いた人 Wrote this article

鷹宰 葵 鷹宰心理療法所:所長、公認心理師、催眠療法士(ヒプノセラピスト)、公認心理師実習指導者、ストレスチェック実施者、両立支援コーディネーター

精神力動論的立場。 専門はPTSD、複雑性PTSD、アディクション(依存症)、パーソナリティ障害、解離性障害、機能不全家庭、アダルトチルドレン、HSP、性格因等のメンタライゼーション的なパーソナリティへのアプローチ(精神力動アプローチ)。 心理学、精神医学、スピリチュアルに基づいた時間をかけた丁寧なカウンセリング・セラピーが信条。 琵琶湖の畔で一人気ままに活動中。 たまに医療領域にも出没。